かごしま子ども夢大学

2017 総括リポート vol.4

キャリア教育の広がりに期待

 キャリア教育の一環として、県内の小学5・6年生30人が、働く意味を学んだ「かごしま子ども夢大学」。総括リポート最終回では、第1講座の講師として携わった鹿児島大学教授・有倉巳幸さんに、キャリア教育のポイントを聞きました。

小学5・6年生は、行動のよりどころが親から友達へと変わっていく時期。子どもたちは他者から自分がどう見られているかを意識しつつ、意見発表していきます

 「子どもが自分の夢を実現するために、どんな経験ができるのか、その道筋をつけるために周りの大人がどんな環境を与えられるか、がキャリア教育の鍵です」と話す、鹿児島大学大学院学校教育実践高度化専攻教授の有倉巳幸さん。

 「決して良い環境だけを与えるのではなくて、うれしい気持ち、不快な気持ち、いろいろな感情を経験できる場が必要です。何に注目し、どう意味付けるかは子ども本人が決めることなので、大人が全て設える必要はありません」

 学校教育で補いきれない部分を学外で学べる子ども夢大学は、貴重な機会だと評価します。

 

言葉を使わず、身振り手振りで会話し、誕生日順に並ぶゲームのひとコマ

■人との関わりが大切

 キャリア教育で注目されるのが、コミュニケーション能力。初対面の人と仲良くなる経験は基本中の基本です。

 「夢をつかむ上で、人との関わりは必要不可欠です。関わらないと仕事ができない、仕事の機会が得られない。そこで、子ども夢大学の第1講座では、人と関わることが楽しいという経験をするように設定しています」

 小学5・6年生は自立心が芽生え、現実的になっていく時期。これまでよりどころにしていた親の意見に違和感を感じ、共感できる友達との行動が増えます。

 「夏休みを使い、これまで知らなかった友達や働く大人と関わり、いろいろな価値観があることを知ること。仕事の意義を考え、職場体験し、それらを振り返って川柳に残すなど、意味付けの作業までできているのが、夢大学の良さだと思います。子どもと近い距離で取り組むキャリア教育が、民間でもっと広がるといいですね」