キャリア教育で〝生きる力〟の醸成を
キャリア教育の一環として、県内の小学5・6年生40人が働く意味を学んだ「かごしま子ども夢大学」。総括リポート最終回となる今回は、講師として携わった、鹿児島市立八幡小学校教諭・兒玉拓世さんに、現代社会におけるキャリア教育の展望を聞きました。
昨年に引き続き、かごしま子ども夢大学の講師として携わった小学校教諭の兒玉拓世さん。
「職場体験や働いている大人と接する上で大切にさせたのは、〝職業〟を見るのではなく、働いている〝人〟を見るということ。大人がどんな思いで働いているか、人と人との付き合いにはどんな力が必要なのかに気付かせたいと考えました」
働くことに対する小学生の意識は〝職業〟そのものに向いてしまいがち。しかし、小学生の段階では、まず、どんな職業にも必要とされる〝人間関係づくりの力〟や〝勤労を大切にする心〟を育成することがより大切、と話します。
講座では「大人は何のために働いているの?」「働きマンに求められる力は?」など、班ごとのグループディスカッションを積極的に行い、話し合いの中での気付きを大切にしました。
「子どもたちが、将来働く上で必要になってくるのが〝コミュニケーション能力〟。携帯電話やスマホなどが普及し、顔を合わせないコミュニケーションの気軽さを知っているからこそ、面と向かって協働する時間を大切にさせていきたいです」
■家庭とのつながりを密に
今後は保護者も参加できる講座を作り、家庭とのつながりを密にしていきたい、と話す兒玉さん。「講座が終わっても、関わり続けるのは家庭であり保護者。保護者は何より一番身近な〝働きマン〟でもあります」
働く意味を考えることは生き方を考えるということ。子どもたちを取り巻く地域や企業、そして家庭が協働し、関わる大人が働く姿を示すことで、子どもたちは、自分自身の将来、さらには生き方を考えるきっかけをつかみます。
子どもたちが、社会性や自主性を養い、自立していくためにも、〝生きる力〟の醸成へとつながるキャリア教育の充実が求められています。